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2015/02/16 (Mon) Comment(0)
貴方はいぬ式ギルレライで『      』をお題にして140文字SSを書いてください。http://shindanmaker.com/375517
ぷらいべったにちまちま落としていたもの。
140字に収める気がきれいサッパリ欠片もなくて申し訳ない。

  注
*ローレライさんとギルティくん姉弟。
*姉弟でギルレライ。近親相姦。爛れてます。
*ギルティくんもローレライさんも別宅、恋人、色々。爛れてます。
*ギルレライだけどローレライさん出てこない。
*むしろメイコモジュ出てこない。

大丈夫でしたら[読んでみる]からどうぞ。




*******




ここまでの車賃を御者の手の中に落とし、少し待っててよ、と言い置いた。
ベルを鳴らしてドアを開ければ慌てて駆けてくる少女の足が鈍り、止まり、そして渋い顔。もう一人はまるで能面というやつだ。本物は見たことがない。真っ白で冴えた無表情。
ローレライ様ならお出掛けです、とイノセントに断られた。その後ろで黒いワンピースの端をちょんと握るアムールは、目の前の少女より頭半分背の高いのに、なるたけ小さくなって隠れようとする。仔兎か。指が、無意識にチョーカーのトップを弾いた。
嗜虐心も湧くが、今日はなんとなくイタズラにも興が乗らず、じゃあいいよ、と言って踵を返した。背中にひらひら、右手を振る。
その背に投げかけられる声は冷ややかだ。
「またのお越しを」
お待ちしておりません。だろう。続く言葉としては。
ギルティが振り返り見ると、イノセントが訝しげに眉をひそめた。このくらいの応酬はいつもしている。口元小さく、わらって見せた。
「行って来るよ」
外に出ると、御者が暇を持て余したかぼんやりと空を見ていた。よく晴れた秋空だ。ギルティは出し抜けに声をかけ、行く先を示す。御者は驚いた様子で肩を竦ませたが、すぐに肯いて鞭をとった。
車窓から振り返る。この邸の主が彼の姉となってから、いってらっしゃいと見送られたことがなかった。彼女のいる限りは、先に発つことをしないからだ。馬車はことことと揺れ、邸はその影を遠くする。
女性の家に行っても良いのだが、思い浮かんだのは幼馴染の悪友だ。いや、『悪友』はこちらの方か。ことことと揺れて隣町、大きな屋敷の前に馬車は止まり、ギルティは降りて車賃を御者の手の中に落とした。今度は、待っているように、は言わなかった。
門も玄関も目の前で開かれて、丁寧なメイドに応接間に通される。アポイントメントはないよ、と言ったのだがオレンジのスカーフを首元に、左右非対称に締めた侍従の少年が、確認して参ります、と出て行った。入れ替わり、ギルティを応接間に案内したメイドの少女がワゴンを押して入ってくる。
焦げ茶のボレロの胸元にオレンジのリボンを揺らし、少女がカップに琥珀色を注げば芳香くゆる。ソーサーにビスケットを添えて勧められる。坊っちゃまがいらっしゃるまで少し、お待ちください。別な邸なら歓待されているか毒入りかどちらかだが、この屋敷ならこれが普通だ。どこまでも完璧な、この家の彼ら姉弟の様。
「悪いね」
微笑みかけると、顔見知りのメイド少女は息をつく。ではお出でになる前に、ご一報お寄せください。
「お嬢様も坊っちゃまも、決していつもお相手できるとは限りません」
それもどこか労わるような言い様だ。自分たちが面倒を押し付けられるだとかなどとは、おくびにも出しやしない。
座る目の前に華奢な陶器を置いて離れる手を取った。
「俺は君と話ができるならそれで充分だよ」
少女は少し驚いたかもしれない。水浅葱の薄青い眸が僅かに瞠る。さっき邸の屋根の向こうに見た高い秋の空の色。この明るい日の当たる屋敷ではなく、欝蒼とした木立に埋もれるように囲まれた、暗い赤色の屋根のその向こう。
何がしかを言ってその手を退けようと、少女の唇が振れた、その時だった。
ドアが開いた。開けたのは少年侍従だ。入ってきたのは青年。裾の長いコートは室内、まして自宅だから着ておらず、それでもスカーフまできっちり正しているのがいかにも彼らしい。鮮やかなインディゴの眼差しが、握った手と握られた手に止まり、かっと見開かれた。
「おい、ギルティ!」
仕方なし、と体を取り、元より手離すつもりだった手を放す。
「やあ、クラシック」
片手を上げ、片頬を上げ、気さくな挨拶を返したのだが、青年主君の気は収まらない。眉間にぎりぎりと皺を寄せ、剣呑な青色を差し向けてきた。
「やあ、じゃない! うちの者を毒牙にかけると言うなら容赦しないぞ」
そして職責を果たしたメイドに声をかけ、下がらせた。少年侍従には彼女に丁寧に付き添うように言い添える。
まだ何もしていない、と肩を竦めると、当たり前だ、とクラシックは断じた。
「お前が何かした時は全てが終わった時だ」
まったく。ギルティはため息をつく。
清廉な奴は容赦がない。
「ひどいな。俺だって愛でる手と愛する手、恋する手の別はつけているよ」
殊更に傷ついた様子で見せて、けれど。
「ああ。知ってる」
クラシックは二人の年弱な家人の立ち去り、戸の閉ざされ、部屋の閉ざされるのを待って振り返った。青い双眸は明瞭に見下ろして来る。
「だけどお前は、それは全部、アソビ相手の場合だけだ」
その声に、非難の音はなかった。
窓の向こうの空は晴れ、大きな明かり取りから日差しを取り込んで部屋は明るい。 けれど脳裏には翳り深いあの一室が思い起こされる。雨の降る音まで聞こえるようだ。クラシックは、ギルティの本心を知っている。
視線を外さずしかし押し黙ったギルティに、今度はクラシックが小さく息をついた。歩み寄ってソファの袖を回り、向かいに腰を下ろす。ビロードを張ったソファは深く沈んで主を迎え入れた。それで、とクラシックは尋ねてきた。
「今日は何の暇つぶしだ。どうせ、家に帰ってみたがローレライがいなかったとか、そんなことだろう?」
話し相手が希望か宿泊が希望か。泊まって行くならばこちらにも用意があるのだから最初に言え、と。
思わず苦笑も零れる。おざなりな問いに、罪ありと揶揄で以って呼ばれてもそこまで厚かましくなるつもりはない、と答えようとはしていた。けれど。
華々しく、音も大きく立ててドアが開かれた。入ってきたのは大柄な、ネコだ。
「おー! ほんとうだギルティだ! 今日は泊まれんの?」
光跡眩しく耳と尾を揺らす青毛のネコは、クラシックの、というよりは彼の姉のスカーレットの飼い猫だ。以前訪ねて来た時に、少し構ってやったらどうやら気に入られたらしい。クラシックが眉間に皺を寄せ、額を抑えた。
ネコは猫らしく憚る様子もない。
「いいだろ? マスターにはさ、俺が頼むから」
にぃ、と口の両端を釣り上げる。ネコの開け放したドアから少年侍従が慌てた様子で駆け込んで来た。突撃を、抑えられずに申し訳ありません、と青い顔で入ってくる侍従にクラシックは、いや良い、と答え客室の用意を命じていた。
潔癖な彼がなぜ、今以てギルティを友人と呼ぶのか、尋ねたことはない。質されたことはある。いつまででもこうしていられるはずもない、どうするのか、と。
その時の自身のいらえを、もちろんギルティは忘れてはいない。



*******

貴方はいぬ式ギルレライで『どこまでも行くよ』をお題にして140文字SSを書いてください。
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