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カイメイ中心 * VOCALOID二次創作小説サイト * メイコ愛をこっそり謡う
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2024/05/17 (Fri)
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2014/06/27 (Fri) Comment(0)
2014 6/29
VOCALOID PARADISE 番外編3 MEIKO PARADISE
名古屋国際会議場 イベントホール(1号館)
B-22
サークル名:移動書架
 <終了しました>

新刊:人魚と雨の日の話
   スミレ×ローレライ(ホワイトブレザー×大正浪漫)
   ・「春の花と手紙の話」に連なる話です。
   コピー A5 28ページ
   イベント頒布価格 200円

既刊:カンタレラ
   カンタレラ序説
   てんやわんや!
   春の花と手紙の話
   スノードームの朝

委託:メイコストラップ(七さん)
   赤ずきんとおおかみ(彗零さん)


以下新刊のサンプルです


「春の花と手紙の話」に連なるお話。
なのですが以下の注意を踏まえていただければ、お楽しみいただけるのではと……

   注意
* CP はスミレ× ローレライと、こっそりホワイトブレザー×大正浪漫。
* 時代はなんちゃって。妖達もなんちゃって。
* 本作におけるメイコ=ローレライ、カイト=スミレです。本名は本性を縛るから呼び合わないとかなんとかかんとか。

# 妖町 http://shindanmaker.com/279875 を参照しつつ

メイコ=ローレライ
人魚。
地蔵の辻に住んでいる学生の世話役。昔はとある淵に封じられていた。更に昔には人の子。

カイト=スミレ
雨師(うし)。地蔵の辻(学生さんちのはす向かい)に住んでいる機織り。鈴を大事にしています。かつては人の子。その頃にとある淵で人魚に出会い、別れ、再会を誓い、この街でそれを果たした。

************
大正浪漫
水虎(すいこ)。地蔵の辻に住んでいる学生。独楽を大事にしています。ホワブレは婚約者。

ホワイトブレザー
欅の木霊(こだま)。桜小路に住んでいる郵便配達人。花の形の痣を大事にしています。浪漫さんの婚約者。本性である欅の樹はとある淵のある川の近くの村の傍に。





もう三日ばかり。雨が降り続いている。
生垣の躑躅は新緑を色濃く濡らし、赤紫の花の終わりに重たげに滴を乗せる。時折、重さに耐えきれず、震えて滴が降り落ちた。
振り込まない雨だから、地蔵の辻の小さな一軒家では庭に面した居間の障子戸を大きく開けていた。降り続く雨に、空気までが水の気を帯びる様。けれどそれを割り引いてもまだ重く沈鬱な、まるで深い淵の水底のような気配が、小さな一軒家の小さな居間を押し包んでいた。
居間には二人、女性が畳に膝を向い合せている。ふたりとも、表情は晴れやかとは言い難い。
ひとりは学生。薄紅の上衣、袖に大輪の桜をあしらい、スカートは東雲の空のグラデーションを描く。平生は朗らかに花の咲く様な面持ちだが、今日は口をへの字に結び眉間に皺寄せ、承服し難いとばかりに目の前の女性を見詰め上げていた。
いまひとり、女性は黒衣。黒が基調だが袖と裾に揺らめく飾り鰭のようなドレープは赤の印象を鮮烈にする。学生身分の主に、世話役として端然とした表情は常だが、山楂子色の眼差しを受けながら今日はいつになく頑なだった。
「参りません。たとえ浪漫様のお願いでも、それだけは適えられません」
物静かな声音は断じても荒げられることはない。目の前に、すっと背筋を伸ばし座った居住まいが、堅牢な城塞のように思えてくる。高い壁、深い堀。寄る辺もない。いつもならばその峻厳な正論に白旗を上げているのだが、今日は諾々として頷くことはできなかった。
「ローレライの…」
潤む双眸は波濤のような激情を湛えている。ひるむに十分な眼光だが、それが向けられた風貌の涼やかさは変わらない。
「ローレライの分からず屋!」
ぎゅっと目をつむり渾身叫んだその声で、小さな家もピリピリと揺れた気がした。堪らず立ち上がり、身を翻す背を呼び止めない。廊下を踏み鳴らす足音が去って、居間に独り残されたローレライは深く息をついた。
雨脚が少し、強くなったようだった。


(後略)

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