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カイメイ中心 * VOCALOID二次創作小説サイト * メイコ愛をこっそり謡う
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2012/08/02 (Thu) Comment(0)
初めから → 赤い人魚と青い人形の話 1

忘れたこr(ry
女の子だって大切なものを守るために戦いますよ、と。





視界の変化は一つ瞬く隙もない間のことだった。
確かに踏んでいたはずの足元が掻き消える。浮遊感。気付けばレンはついさっきまで足元だったはずの吊り橋に、しがみついてぶら下がっていて、リンは。
リンはレンに向けて手を伸ばしていた。切れ落ちた橋の木片と共に、川面に引かれるように離れていく。
「リン!」
レンは縋っていた橋板を手放した。そこに躊躇いはない。レンもまた、リンを追って落ちていく。
わらって二人を見ていたカイトの表情から、ふと、笑みが消えた。
 
 
 
子供が落ちてくるのが見えた。二人。
橋が切れて落ち、一人が先に、もう一人は先に落ちた子を追うように自分から。
メイコは水中で身を翻した。高所から水面に、不用意に叩きつけられれば地面に落ちるのと同じ結果を招く。落下点に入り、受け止めようと手を伸ばして、伸び上がった。
勢いは止めた。少女の身体を抱き止めながら水の中に潜り込む。
だがメイコも混乱していた。冷静でなかった。橋の傍にカイトを見たのだ。落ちる橋を見ながら平然としていた。どうして。
腕の中のリンに息を継がせようと浮き上がったところで、レンがもう間近に落ちてきていた。渾身で水を繰り、せめて落下の衝撃を殺す。手を伸ばしたが、水に落ちた少年の体はメイコの指先を掠めただけで、雪解け水の急流に押し流されていった。
リンを抱えては追えない。川岸に押し上げ、身を返す。
メイコは身をくねらせて川の流れに乗った。流れに乗って必死に追い縋る。だが少年の体はずいぶん流されてしまっていた。おまけに防寒のための厚着が水を吸い、うまく浮き上がれていないようだ。流されるままになっている。
メイコは懸命に手を伸ばした。数度。けれど虚ろを掴む。もう少し、と手を伸ばし、今度は確かに届く、と思えたその時だった。
壁にぶつかった。はっとするメイコの前で、レンはもがきながら流される。淵の守り部として封じられたメイコには、見えずとも鎖が繋がれているのだ。領域を出ることはかなわない。
メイコは手を伸ばしてあがいた。見知らぬ少年を死なせたくなかった。
助けて。誰か。
彼を。
願うメイコの目の前、岸を駆けてきて飛び込んだ者があった。カイトだった。彼もさすがに人ならざる。流されながらも追い付き、先行して流される小さな体躯を掴む。
領域の際でメイコは喉の切れるほど彼を呼んだ。

 

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