カイメイ中心
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VOCALOID二次創作小説サイト
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メイコ愛をこっそり謡う
『眠ってしまった相手の頬をつついている』『ニンろま』を描きor書きましょう。
#kawaiiCP
https://shindanmaker.com/62729
『スノードームの朝』の二人です。
ドームかいとくんは私が書くカイトさんたちの中で最もヘタレですね…
そんなかいとくんが眠っているとは言えめいこさんの頰っぺたつんつんするなんて…
とてもとても。
とてもとてもとても。
#kawaiiCP
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『スノードームの朝』の二人です。
ドームかいとくんは私が書くカイトさんたちの中で最もヘタレですね…
そんなかいとくんが眠っているとは言えめいこさんの頰っぺたつんつんするなんて…
とてもとても。
とてもとてもとても。
雪が降っている。風は逆巻いて、窓の外は白。鈍色の屋根が押し黙って覆い尽くす重みに耐えていた。
足袋の脚はひやりと廊下を踏む。床板は木目を濃くしてニスの彩り深い。息を詰め、足音をひそめるのは幼い頃から躾けられた所作だ。風貌の半分以上も隠して、ただ、影のようにあれと慣い育てられてきた。一部屋、襖の前に膝をつき声をかける。
「浪漫様」
ただ、彼女の影に、と。
カイトを育ててきた祖父の目に留まればなんと叱責受けるだろう。室内からの応じる声のないのを寸暇、待って引き手に指をかける。襖戸はよく滑り、音もなく開いた。
視線を巡らせた部屋は簡素な書斎だ。文机と、小造りの書棚。火鉢には炭が赤く点っている。巡る青藍が留まる先には、春の花の色の着物に包まれた背が文机に覆い被さっていた。
両袖を重ねてその上に頬を乗せ、小さな肩が密やかに上下する。覆って隠す風貌の中で僅かばかり、表情の浮かぶ目元をカイトは細めた。
歩み寄る。後手に襖戸を閉ざせば、吹雪く窓外からも廊下の冷ややかさからも隔絶し、一室が小さな世界のすべて。まるで世に、ただ二人きりの男女になる。
膝をついて見詰めた。横顔は手を伸ばして容易く触れられる傍ら近く。花のように白い頬に一筋の髪がかかっていた。
外は雪。風音は幾重の窓の向こう。火鉢で炭はちりりと燃えた。伸ばした指先をしかし、カイトは触れるか否かで躊躇った。
めいこ。
浮かぶ名を心の内に留め、硬く皹を結んだ指先は離れゆく。手を、降ろしてつき、カイトは彼女の名を呼んだ。
「浪漫様」
かけた声に、薄い瞼は震え開かれた。緩やかに身を起こし、振り返り見る。啓蟄のふくよかな土の色の眸には睫毛の影がかかり、藍石の双眸を見つめた。小首を傾げる仕草で、頬にかかる髪が肌を滑り頤の縁にさらりと揺れて、揃う。
「どうしたの? 影」
従者然として、カイトはこうべを垂れた。春土色の眼差しは視界から消え、脳裏に想うばかり。夏空ほど青い眸はついた指と足元だけ、見詰めた。
「お疲れでしたら、どうぞ床(トコ)に。すぐ用意しましょう」
言の葉は少し途切れ、遠くに雪風巻が高く風切る。メイコ、は何をか言い澱んだろうか。やがて。
穏やかに微笑む声音で、その言葉は聞こえた。
「大丈夫。ありがとう」
食事の用意ができたことを告げ、こちらに運ぶかを尋ねると、自室に戻るからとの応え。承知の旨を一言発して、また一つ頭をさげる。礼を崩さず、辞去していった。
見送って、メイコは書斎に独り残された。ふと。
桜色の小さな爪の先でそっと頬に触れる。触れずに離れていった指先。瞑目する。
唇を結び顔を上げ、メイコは立ち上がった。
窓外には雪が、降っている。
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