幕前

始まり、始まり。

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彼の皇帝の生前において、私から語るものは何もない。優秀な歴史家たちが数行をその著書に割くだけで充分だからだ。
ある者は目立ちたる横暴はなかったと書き、ある者は目立ちたる業績はなかったと書くだろう。あるいはその両方か。私もそれについて否やはない。だから私が畑違いに眉をひそめられながら口を挿む必要もない。では私は何を語るべきか。
それは死だ。私は彼の死について語ろう。彼の死にまつわる白い魔性の話をしよう。
雪のように純白。滑らかな蜜のように甘い彼女の名を、カンタレラと言う。