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カイメイ中心 * VOCALOID二次創作小説サイト * メイコ愛をこっそり謡う
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2011/09/07 (Wed) Comment(0)
めーちゃん怪我をするシリーズ
…にしようと思ってました。
なんか巧いこと続かなかったので予定は未定。
兄弟は『兄弟一家族』の皆々です。

題材はグリルパルツァーの『kus』から。





雨音が聞こえる。
静かな静かな霧雨の音だ。
ボーカロイド程の聴覚がなければきっと聞こえない。
けれどそれはボーカロイドならば聞こえる、と言うことの裏返しで。
「めーちゃん」
ひょいと覗き込んできたカイトに聞こえていないはずがない。ソファに寝転がっていたメイコは、ごろりと寝返りを打って覗き込む青い眸を仰いだ。
「だるい?」
柔らかなテノール。心地良いその声に、本心を言えば否定を返したかった。心配をかけたくなかったから。
だがそれは嘘になる。どうせ見抜かれるし、メイコはカイトにだけは嘘をつきたくなかった。どうしても。
「ちょっとね」
苦笑いを返すと、更に苦笑が返ってきた。
「ごめんね。俺が車出せれば良かったんだけど」
規定稼働年数に達していないカイトは、まだ運転ができない。ミクもリンもレンももちろんで、この家で車の運転ができるのはメイコだけだ。
どうしようもないことを気に病むカイトに、そっと手を伸ばす。
「あんたのせいみたいな顔、しないでよ。バカね」
指の背で、それから掌で。
頬に触れて、小さく笑った。
「ミスったのは私でしょ? 私が判断を間違ったのよ」
すると前髪の奥で、カイトが眉をひそめた。表情が険しくなって、それは普段弟妹たちに良いように振り回されている情けない兄の顔じゃない。
メイコが伸ばした手を取って、その掌をぺろりとなめるようにキスをする。射るような青い眸が鋭い。
「それでも、俺は悔しいんだよ。めーちゃんのために何もできないのは」
瞠る紅茶色の眸に、青い眸の切実さが映り込む。
見上げたメイコと、見詰め下ろしたカイトの間には沈黙が横たわり、その間を埋めるように雨音が響いた。
煙る霧雨のような、聡い聴覚の二人には聞こえる雨音。そして返す言葉をのんだメイコに、カイトは自分を笑うみたいに笑って、だから、と言った。
「そんなこと言わないでよ。寂しいでしょ?」
ん、と呟くようにメイコは返答した。それしか、返せなかった。
変に顔が火照って、けれどそれは、今起こしている不具合のせいだと思い込みたかった。



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