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カイメイ中心 * VOCALOID二次創作小説サイト * メイコ愛をこっそり謡う
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2012/04/15 (Sun) Comment(0)
自分でゲームしてないので声高には言えませんが零シリーズ大好きです。
お姉ちゃんの困った顔がたまらん。
怜さん今日も雨ですねハァハァ。
なので影響が皆無と言ったら嘘になりますというかちょっとちらちら考えてました。

メイコさんが怜さんの服着たらたまらんと思う。
メインの色が青なのがまた逆に。







水面に舟の腹のないのを確かめ、ゆっくりと浮き上がる。半身を浮かべてくるりと辺りを見回すと、木陰から背の高い青年の姿が現れた。
「こんにちは、ローレライ」
人の手の造り得る完璧な微笑。人好きのする美しい微笑みだ。だがメイコは人ではない。
「こんにちは、スミレ」
彼自身と同じように。
彼は腕の良い人形師に作られた人形だ。亡き主の命令を果たすべく、メイコの前に現れた。
ゆらりと魚の半身をくねらせ、岸辺に寄る。
「貴方……まだいるつもりなの?」
人形師であり、彼の亡き主はメイコには遠い日の少年だ。カイトが既に亡きと聞いて、気持ちの揺らがなかったわけではない。
だが人は去るものだ。彼が世を去ったとて、人のようにひたひたと悲しむ心はとうに水底に沈めている。
だから突に湧いて出た様な申し出には、困惑よりほかの感情を持ち得なかった。けれど青い眸は微笑む。
「ええ、もちろん。永遠に」
カイトの面差しをもつ青年人形は、そう言って夏の岸辺に腰かけた。昔日には人の子と人ざるものが並んで座り、密やかに歌い合った岸辺だ。
「でもカイトはもう、いないのでしょう?」
メイコは問う。頷く青年の面は崩れない。
「それなら……貴方が果たす義理もないじゃない」
彼は存在そのものをこの淵に括られたメイコとは違う。メイコを捜し歩いていたこれまでのように、どこにでも行けるのだ。
「カイトの気遣いは嬉しいわ。でも私には共連れは要らないの」
敢えて同道を求めたいとは思わない。
父や弟を飲んだ淵に身を沈める時に、既にその覚悟があったと言えば嘘になる。ここでまた誰かが死ぬのは嫌で、残されて泣くのも、残された誰かの涙を見るのも嫌で、だから人の理と足を捧げてここに括られたのは望んだ結果だった。
身の上は嘆かない。けれど勧められる道でもない。
「貴方は、貴方のために生きた方が良い」
正論として、諭したつもりだった。けれど。
「おわかりでない」
青い硝子目玉がメイコを見詰める。
「私は貴女のために作られた」
メイコの過ごす永遠に寄り添うように、と主は彼に命じたと言う。それが遺言。遺志ならば背きがたい心情は理解できる、とメイコは思った。
しかしそうではない、と人形は断る。
「人形が、人形師の手を離れて歩けるはずも有りません」
人形の薄い唇は口角を上げ、変わらずに笑みを湛える。人形師が永年苦心を重ねたのだろう、精緻な仕草だ。
「主なくとも私の繰糸は主が握っているのです」
驚くほど。
人形の微笑は綺麗なのに、ひどく歪んで見えた。


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