カイメイ中心
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メイコ愛をこっそり謡う
初出:Pixiv
カイトが初めてメイコに会ったのは穏やかな小春日和だった。マリーゴールドみたいな黄色でオレンジの陽がのどかに射し込む、この家のリビングでのことだ。今回の初音ミクと同じような、製品化前のテストだった。
日当りのいいソファに腰掛けてカイトを待っていたメイコは、その聡い耳で廊下を踏む足音を聞き分けてドアが開く前に立ち上がっていた。それを、カイトは同じボーカロイドの聡い耳で聞き分けていた。
秋の日射しの中に立つ女性型のボーカロイド。目に鮮やかな真紅のセパレートに長い手足の白さが眩しくて、仮にも男性型のカイトとしては目のやり場に困るものがあったのも事実だ。
開発者に背を押されて歩み寄ると、彼女の方から手を差し伸べてきてくれた。
「初めまして」
軽く小首を傾げた仕草に合わせ柔らかそうな胡桃色の髪がさらりと揺れて、秋の日射しがすべっていった。
「私はCRV1、MEIKO。メイコ、よ」
耳に心地よく触れる声。軽やかなメゾソプラノ。伸べられた手を握り返すと、その柔らかさにどきりとした。男女差なのか、彼女だからなのかはまだ多くを知らないカイトにはわからない。
「僕はCRV2…名前はまだ…その、初めまして」
たどたどしく挨拶をすると、花の微笑をくすりと零した。
---続
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