カイメイ中心
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VOCALOID二次創作小説サイト
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メイコ愛をこっそり謡う
犬蓼へのお題:女の子にはなれないけど/「泣いてもいいのかな。」/閉じ込めておくなんて出来ないよ
http://shindanmaker.com/122300
注:アイドル咲音とカイコ(女装)
カイトがだいぶアレです。
続き物の完結編です。
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注:アイドル咲音とカイコ(女装)
カイトがだいぶアレです。
続き物の完結編です。
「絶対に、嫌」
聞くつもりのなかった言葉を聞いて、カイトは曲がり角に立ちつくす。幼い頃に何度も世話になったテレビスタジオの廊下。変わってしまったように見える景色のわけは、カイト自身の変化も大きいのだろう。
「私が誕生日イベント嫌いなの、知ってるでしょ?」
とがった物言いは、想像もつかない。あの頃の彼女はいつも笑っていた。
しかも誕生日のイベントが嫌いだなんて、みんなが祝ってくれるのが嬉しいとあんなに明るい顔を見せていたのに。困惑するカイトは茫然として、懐かしい、けれどちょっと大人びた声音がこちらに向かってくることにさえ思い至らなかった。
「ぶ」
ぼすりと柔らかい感触。その後にくぐもった声。
明るい色の眸が忌々しそうに睨み上げてくる。けれどその眸が見開かれたことに、カイトは気付かなかった。
白い胸元に、ちゃりんとペンダントが揺れる。カイトの目を釘付けにした。鎖に小さくなってしまった指輪を通したペンダント。
呼び戻したのは一歩引く仕草と、彼女の声だった。
「うわ! キモ!」
あんまりだ、と思った。カイトにしてみれば感動の再会なのに。
メイコは寄せた眉根を解かないまま、きれいにたたまれたハンカチを差し出してくる。
「顔、拭いてよ。キモチ悪いから」
気が付けばぼろぼろと泣き出していて、まるで彼女に別れを告げたあの日のようだ。
「ずびばぜん…」
ぐずぐずと鼻水まで垂らしてしまっていて、ドン引きされるのももっともだ、と思った。踵を返して逃げ出したかったけれど、はっとしたようにカイトとメイコと同じだけ年を取ったマネージャーさんが告げた。
「あ、ほら、この間言ってた新人クン! KAITO!」
アイドルを卒業してシンガーになったメイコが胡乱なものを見る眼差しを向けてくる。なんて見っとも無い再開。
それでも、もう一度ここから。
女の子にはなれないけど。
-了-
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