カイメイ中心
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メイコ愛をこっそり謡う
初出:Pixiv
・ピロートーク注意
・ピロートーク注意
初めて同じ布団で目覚めた朝は、真っ白な雪に埋もれていた。
寒さのせいで互いに温もりを求めたのか、目を覚ますとまず引き締まった胸板が目に入って少し驚いた。面差しから思うよりもずっとしっかりとした体付き。男性らしい骨っぽさにどきどきする。
昨日の晩にメイコを抱いた腕は、今は同じ身体をまるで抱き枕みたいに抱きしめている。身動ぎすれば起こしてしまいそうだから、もうしばらくはじっとしていよう、とメイコは思った。
寝顔は何度か目にしている。少し幼く見えるその顔が、時にひどく魅惑的な大人の男性の表情を作るんだと昨日思い知った。小さくこぼれた笑みに答えるように、んん、と鼻にかかった声が洩れ、眉根が寄って眉間にしわが刻まれた。
カーテンの隙間から射し込む白い光が青い髪に煌めき滑り落ちる。カイト、と名を呼ぶと、ぼんやりした様子で二、三、眸が瞬いた。
「カイト、おはよう」
空を映した深い海の青の眸。胸元から呼びかけると、メイコをじっと見詰め、綻んだ。
「おはよう、メイコ」
綻んだ眸は嬉しくてたまらないと言うように細められ、メイコの背に回された腕が力強く抱きしめてきた。少し息苦しくはあったけれど、温もりは嬉しくて、暖かくて、メイコもくすくすと笑った。
「よかった」
腕の力を名残惜しそうに抜いて、カイトが呟いた。代わりに、と言うようにもそもそと布団に入り込んできた。メイコに視線を合わせる。
「何が?」
尋ねると、少し照れくさそうに苦笑した。
「夢じゃなくて」
こんな夢を見たことがあるのかと尋ねると、気まずそうにうんまあと濁した答えが返ってくる。助平、とからかいはしたけれど、男性なのだから仕方ないかな、と思う。
むくれてしまった恋人の、鼻の頭にちゅ、とキスをした。そして青い前髪を掻き揚げて、海色の眸を覗き込む。
「でもこのことは初音ミクには内緒にしましょ?」
どうして。
疑問と不服でカイトの表情が曇る。不機嫌そうな顔がちょっと子供っぽくて、メイコは思わず笑ってしまった。
「カイトだって知ってるでしょ? あの子、十六歳なのよ」
そうして立てた人差し指をそっと唇に触れさせる。片目を瞑り囁いた。
だってこの距離は、十八歳未満お断り。
-了-
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