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カイメイ中心 * VOCALOID二次創作小説サイト * メイコ愛をこっそり謡う
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2012/01/20 (Fri) Comment(0)
涼介Pの『見返り美人』派生(三次)小説『花火』の続きと言うかなんというか。
タエコさまが『最後の見返り』(PIXIV)のあとがきで転生してでも幸せになってとおっしゃっていたのも含めて胸きゅんしたので年を越えて唐突に。

転生ネタは何ですね、実は難しいですね。

注意。
カイメイでぽルカ。
カイトがあほっぽい。
メイコが病気理由で留年経験あり。
理系大学想定。






 
 
 田舎のばあさまはカンの強い人だった。癇癪持ちって言うんじゃない。なんと言うのか、因縁とか業とか得体のしれないものを感じる感覚のある人だった。
カイトが言われたのは前世だった。お前は前世で死に別れたもんをさがしてる。
だがそんなものは信じていない人間にとったら老人の世迷い言。気味悪く思ったりもするだろう。
「あまり気にするな」
両親もそんなことを言うくらいには気にかかっていたらしかった。
カイトはと言えば、そんなものだと思っていた。刷り込みもあっただろう。大人の言うことなら何でも真に受ける時分から言われ続けてきたのだ。
だが何より深く刻まれたのは婆さまが一度だけ、ぽつりと言った言葉だった。
五つの年だった。夏休みで、田舎を訪ねていた。長い日がゆっくりと暮れかかり、蝉が鳴いていたのを覚えている。
母は叔母たちと厨房で話に花を咲かせていた。父は叔父たちとじいさまと縁側に碁盤を囲んでいた。
あまりいい顔をされないのはわかっていたから、カイトはそうっとばあさまの部屋を訪ねた。ばあさまは手紙を書いているところだった。
カイトが顔を覗かせると、ばあさまは筆を止め、硯にかけて置いた。すぐに追い返すつもりだったのだろう。
「田舎は退屈だろう」
カイトは首を横に振った。おっとりとした性格が災いしてか、近所の子供たちのうちでも輪を外れていることが多かった。約体のないものをじっと眺めているのがすきな、変わり者だとされていたのだ。
「お花がたくさんあっておもしろいよ」
カイトは招き入れられないので、廊下で襖の陰に立ち止まったままはにかみながら答えた。縁側に面した障子はすべて開けられていて、時折日暮れの涼しい風が吹き込んでくる。日は傾きつつあり、こちらを向いたばあさまの顔に影が落ちていた。
「あんたは」
ばあさまは目を細めていたように覚えている。
「花が好きかい」
カイトはこくりと頷いた。ばあさまは、そうかい、と呟いた。
「虫さんもね、鳥さんもすき。でもお花をさがしてるの」
そしてカイトは指を差した。
「そのお着物のお花」
ばあさまが着ていたのは鮮やかな夏の柄の花だった。その時にばあさまが言ったのだ。ぽつりと。
「ああ、あんたがさがしてるのは薊の花の女なんだねえ」
 

---続

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