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カイメイ中心 * VOCALOID二次創作小説サイト * メイコ愛をこっそり謡う
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2012/01/02 (Mon) Comment(0)
【感】 FF6 オペラをセリスにガチで歌わせてみた 高・音・質 【動】

カイトの夜の女王のアリアの方でなくてこっちです。
FF6が好きで、好きキャラはセリスで、めーちゃんの声に惚れてたから、感涙しかなかったです。
感極まって書いてみたので、まあ想像の域を出ない内容だと思います。






買い物から帰ってきてリビングのドアを開けると、戦闘シーンだった。それがメイコの現状だ。
戦いを繰り広げているのはカイトとルカ。リビングとダイニングのちょうど中間かというような、食卓とそれに背を向けたソファの間で向かい合い、睨み合っている。さすがに取っ組み合いでなくて舌戦なのだが、鬼気迫りようが尋常でない。
何事かと半ばうんざりしたところに、傍観者たちが声をかけてきた。
「お姉ちゃん、おかえりなさい」
「おかえり!」
「おかえり」
ミクとリンとレンだ。カイトとルカも、おかえり、おかえりなさいませ、と睨み合いながらも声をかけてくれる。
ミクはソファに、本来とは反対向きに座って、背もたれに両腕を乗せている。リンはその背もたれに腰掛けて両脚をぱたぱたとさせ、レンはリンの横でソファの背に背中を預けて立ったまま、長兄と末妹の決闘模様を見守っていた。
ただいま、とまとめて答えて、メイコは弟妹に説明を求めた。気になるのは二人の舌戦の合間合間にしきりとメイコの名が入ることだ。めーちゃんは俺の嫁、とか、姉さまを望まぬ婚姻から守るのは私の務め、とか妙な会話が聞こえる気がする。
「リンちゃんとレンくんとオペラごっこをね、してたの」
それがミクの語った元凶だった。
何やら高尚な雰囲気漂わす呼び名だが、それにはメイコは驚かない。歌うことにかけてはジャンルを問わない兄弟だ。シャンデリアの代わりに何を落とすか相談していたなどと言われもしなければ、朗々と響く歌声も可愛いものだ。
だがわからないのは三人のオペラごっこから、どうして二人の決闘の有様になるのかだ。『オペラごっこ』よりも『オペラ座の怪人ごっこ』を想像してしまっていたのが悪いのかもしれないと思い改め、演目を尋ねた。
答えたのはリンだった。
「マリアとドラクゥ」
「は?」
意外だった。予想外だった。想像の範疇に全くなかった。
目を瞬かせたメイコに、リンはもう一度、言い直した。
「うん、オペラ『マリアとドラクゥ』ごっこ」
二度繰り返されても意外な答えだ。どこをどうとっても、それを予測するのは無理だと変な得心をする。様々の疑問を一緒くたにして、メイコは首を傾げた。
呆れた様子で兄と妹を眺めていたレンが、リンの言葉足らずを補ってくれた。
「リンが見付けてきたんだ。俺たちが生まれる前のメイコ姉の声だ、って」
レンの解説を得てようやく、メイコにも状況が見えた。
「また懐かしいのを見付けてきたわね」
リンが見付けてきたのはゲームの劇中歌を歌った動画だ。ずいぶん昔のゲームで、オペラのシーンにもヒトの歌声が入っていなかった。
「まあ、厳密に言えば私が歌ったわけじゃないけど」
メイコでない、MEIKOが歌ったのだ。苦笑すると、でも!とリンが仰ぎ見上げてきた。
「すごい、って思ったんだもん。メイコ姉の声、こんな風にもすごいんだ、って!」
スカイブルーの眸はきらきらと輝いている。音だけで歌声を表現した曲。その曲を歌った歌。そこに寄せられた感動は、リンのテンションをトップギヤにれるのに充分だった。
レンに協力を仰いでゲームのシーンを探し出し、帰宅したミクと三人でマリアとドラクゥごっこに興じていたというわけだ。
「だけどルカちゃんが帰ってきて、カイト兄が晩ご飯の準備が一段落したからこっちに来て、そしたら配役で喧嘩になっちゃったの」
いわく、『メイコがマリアならばどちらがドラクゥか』だ。メイコはがっくりと脱力した。
「くっだらな…」
思わず呟くと、深い海色とターコイズ、二つの青が振り返る。
「くだらなくないよ!」
「くだらなくありませんわ!」
まったく。
こうも息の合った似た者同士なのに、どうして折り合い良く過ごせないものか。メイコは元凶の自覚全くなく、溜息をついた。
そうして傍らのレンにそっと囁く。ボーカロイドの聡い耳にも拾われぬよう、レンにだけ聞こえるよう小さな声で。
 

-続-

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